抗ガン剤だけでは、殺しきれない細胞があります。細胞が残っていると生着する確率が少なくなったり、患者の造血細胞が増えてくる可能性も大きくなります。
特に、臍帯血移植の場合、骨髄移植に比べて抗体が少ないため患者自身の造血幹細胞が残っていると生着率が低いといわれているので放射線の全身照射は避けられないと思います。
骨髄移植の場合かけないこともあります。
全身放射線照射(TBI)は、一般的には、化学療法の後に行われますが放射線科の状況によっては、TBIの方が先になることもあります。体の体積によってかける量が決まります。
移植自体を成功させるためには、生着しなければならないのでTBIは必要なのですが、やはりリスクもあります。最初のころは、吐き気、嘔吐、下痢などがあります。抗ガン剤も同じような副作用があるのでこれはどの子も苦しみます。下痢はかなりひどく水のようになってしまうので大きい子どもでもおむつが必要になります。
さらに、口腔粘膜炎、色素沈着、脱毛があります。晩期障害としては、ホルモンの異常が起こって身長が伸びにくくなったり、不妊症になるなどが考えられます。
ムコ多塘症の場合もともとの病気が原因なのか、副作用なのか判断しにくいかもしれません。移植後は、身長の伸びを定期的に計って、年間1cm以下の伸びになった時は、ホルモンの検査も受けるようにしましょう。
不妊に関しては、移植を受けた患者の中で、日本でも男女一人ずつ子どもができたという報告があります。
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