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骨髄バンク、入院から退院まで、説明のしかた


Q 家族のなかにドナーがなく、骨髄バンクに登録したいと思います。コーディネートは、どのように進められるのでしょうか?また、ドナーがみつかるまでに、どのくらいの時間がかかるのでしょう?
A まず主治医に登録の依頼をします。この時の先生は移植を担当する先生である必要はありません。代謝の専門医であっても登録はできます。

登録の前に予備検索と言うのが無料で受けられます。バンクのコンピューターに該当するドナーの登録があるかどうかを検索するもので依頼すれば数日の間には、結果が判るでしょう。但し、この時に出るドナー数はあくまで三座までの適合を見るものでここで複数のドナーが見つかったからと言って移植できるとは限りません。

この結果を受けて、ドナー登録を依頼します。主治医がバンクに手続きをすると、バンクのほうから登録料の振り込み用紙が送られてきます。現在3万円です。この振り込みが確認されて始めて一次検索にかかります。

一次検索では、該当したドナーの方に指定の病院に来ていただき改めて採血してもらいます。

そしてHLAのDR、DQについての型を調べます。これが患者の型と一致した場合二次検索に進みます。なお予備検索で複数のドナーがいらした場合は、何人かまとめて検査をすすめます。この結果五座一致したドナーがあった場合ニ次検索に入ります。

二次検索に入る前に、主治医から同意書にサインをもとめられます。二次検索では移植を進めていくために具体的にコーディネーターが関わって作業が進みます。家族全員のHLA検査の結果や病状など移植にドナーを必要とする事情を主治医が書き込み家族が同意書にサイン捺印します。バンクではこの同意書を確認しだい、患者に振り込み用紙を送ってきます。まずコーディネート料として10万円が必要です。

ここでは、場合によって遺伝子座クラス1の検査が追加されます。ドナーの意志も確認されます。検査に関わる費用は患者の負担になります。金額は、そのときにコーディネートされている患者数によって異なってきます。この検査もクリアしたドナーがあった場合三次検索に入ります。三次検索に進む時、改めて同意書にサインをもとめられます。

ドナーは、家族を含めての同意とドナーの健康診断を受けます。その上で移植の日程が決められます。ドナーの健康診断等の費用も患者が負担します。これも人数によって変わってきます。

移植が決定すればドナーの入院にかかる費用や保険なども患者側が負担します。これらの費用は、万一移植が行われなかった場合返金されるものもあります。

登録から移植まで、半年から一年、場合によっては、それ以上かかることもあります。

費用は、50万円から、100万円の間でしょう。

ただ、どの段階でも、ドナー側の都合で断わられる可能性があります。患者側は高額な負担をしていますが、ドナー本人はまったくのボランティアで、検査や入院も学校や仕事を休んで無報酬で骨髄の提供をして下さるのです。




Q ドナーがどんな方か、お会いしてみたいのですが、可能ですか?
A  ドナーと会うことは、できません。ドナーの方は見ず知らずの患者の命を救うため、何度も病院に足を運んで採血したり、移植の時には五日間も入院して全身痲酔の中、骨髄を提供して下さいます。

麻酔をしても骨髄摂取はとても痛く、百回以上針をさした後も、傷がしばらくは残るとか。無償でこのような行為を行って下さるドナーの方、及び理解をしめしていただいたご家族の方に頭が下がります。

感謝の気持ちをぜひ伝えたい、お目にかかってお礼がいいたい。お礼をしたいと思う患者さんがほとんどです。

でも、バンクでは、患者、ドナー双方のプライバシーを守るということが原則になっています。

お目にかかることは、できませんがお願いすれば手紙を届けていただくことはできるとか。

感謝の気持ちを私たちも他にサポートを必要としていらっしゃる方にいつの日かバトンを渡す日がくればいいですね。




Q 入院してから退院するまでのながれを教えて下さい。だいたい何日くらいかかるのでしょう。
A 移植の前にいろいろな検査を受けます。これは、感染の有無を調べたり、移植前の全身の状態を調べます。また、放射線を照射する場合、位置を決めたりします。だいたい10日から、二週間前には、入院することになるでしょう。

移植の前に前処置として、抗癌剤の投与を四日間、放射線の照射を三日間行います。これは、患者の状態や、移植の種類によって異なってきます。

クリーンルームに入る時期も病院によってまちまちのようですが、放射線照射が始まればクリーンルームに移ります。

クリーンルームでどの位過ごすかは、経過によって異なってきます。

骨髄移植で順調にいけば、三週間ということもあります。さい帶血移植の場合は、好中球の増殖するまでの期間が長いので一ヶ月くらいクリーンルームで過ごすことになるでしょう。

一般病棟に戻ってから経過が順調なら約一ヶ月位で退院のメドがたつでしょう。

但し、移植は、いろいろなトラブルが起こる可能性があります。感染症、GVHDなど起こってしまった場合入院が長引くことも考えておく必要があります。




Q インフォームドコンセントを受ける事になりました。いろいろ質問してもいいのでしょうか。どんな点に注意すればいいのでしょうか。
A インフォームドコンセントとは、説明と同意という意味です。

医師が患者に病状や治療の説明をし、それに対してどのような治療、又は手術をすることが望ましいのか情報を提供し、患者が理解をして納得した上で病気と向かい合うことが、望ましいという考え方が一般的になってきました。

以前は患者に詳しい治療法、たとえば、薬の投与のやり方や手術の過程、その後の副作用など、理解ができないであろうと知らされない現状がありました。

しかし、一般の人たちが情報社会に伴い、知識が得られるようになったり、自分の体は自分で治療方法を選択して治していくという意識が出てきました。そこで、すでにアメリカで浸透していたインフォームドコンセントが日本でも一般的になってきたのです。

そこで、どのようなことを注意し、質問をすればよいのか考えてみたいと思います。

1)どのような病気にかかってしまったのか。原因、なにもしなければどのように進行するのか、その期間はどのくらいなのか。

2)病気を治す、進行をくい止めるにはどのような治療が必要なのか。
  薬、放射線、点滴、移植、輸血などが必要な場合、なぜそれらをやらなければならないのか。
  また、それによってどのような副作用があるのか。又は、危険はないのか。

3)今までの担当医、病院の治療成績はどのような状況なのか。

4)全国的なデーターは、どのような状況なのか。

とりあえず、最低限これぐらいの情報は把握しておくべきではないかと考えます。そして、医師の説明に対して最終的には、両親が選択をして決断していかなければなりません。

正直なところ、素人がなにを根拠に決めればよいのか誰もが苦しむことだと思います。しかし、逃げるわけには行きません。医師の説明を納得できるまで聞き、同じ病気の経験者の人、あるいは同じ病棟にいる人たちから情報を集めて、お父さん、お母さん、そのほかの家族の人たちとよく相談をし子どものために一番だと思える治療が、最善の方法なのだと思います。

しかし、医師も忙しく、こちらが聞きたいときにいつでも呼び止めてというわけには行きません。聞きたいことをメモにしておいて、医師の都合のよい時間などを確かめておきましょう。看護婦さんに先生の都合を聞いてもいいと思います。そして、医師も人間です。あまりこちらが、感情的になったりすることも医師との関係の妨げになることもあると、心に留めておく必要があります。

このインフォームドコンセントを受けることによって、患者や家族も責任の一端を担うことになります。

治療を他人まかせにするのではなく、何をしなければいけないのか、医療スタッフと一緒に考えてコンセンサスをとっていきましょう。

そして、患者にとってのベストと考えうる方法が決まったら、力を合わせて治療に向かって行きましょう。




Q 子どもに治療の説明をしたいのですがどのように伝えればいいですか。お願いすれば先生や看護婦さんから説明を受ける事が出来ますか。
A 子どもの年齢によって、対応はおのずから異なってくるでしょう。小学校高学年以上の年齢であればある程度正確な情報を伝えていったほうがいいかもしれません。なにも説明を受けずに痛い検査や苦しい治療を続けるのは、子どもにとってとても不安なことではないでしょうか。

今、どんな状態で、どんなことをすればどのような結果が得られるか子どもに伝え、あくまでも治療の主人公は子ども自身であり、その意志は尊重されるべきだと考えます。ただ、子どもに全てのリスクを伝えることや決定権を与えることはその子にとって厳しすぎるかもしれません。

両親の判断で最善と思われる治療を前向きに受けられるよう心構えがしていけるような伝え方を工夫する必要があると思います。

海外などでは、プレイセラピーという専門職があって、子どもに対して、インフォームドコンセントを行います。人形を使って患者の子どもを医師にみたてて治療の流れを体験させたりして、恐怖心を取り除いているようです。

主治医の医師や、看護婦さんなどにも相談して、子どもが常に主人公である治療をみんなで作っていければいいですね。

就学前の子どもや、小学校低学年の子どもたちであっても、何も知らされず痛い思いをするのは苦痛でしかありません。どんな年齢であってもその子が理解できるよう話すことはとっても大事だと思います。

子どもの語彙を考え、アニメキャラクターの比喩なども使って説明してみましょう。幼いながらに伝わるものは必ずあります。小さい子どもでも、その子の人権を尊重し、治療の主人公として扱い励まして支えられるよう配慮していきたいものです。




Q 中学生の子どもです。知的な障害がないのですが、移植を受けるに際して、本人の同意を必要としますか。もし、怖がって受けたくないといったらその意志は尊重すべきでしょうか。
A とても難しい問題だと思います。きっと正しい答えなどないのだとおもいます。国内では、たとえ患者が成人していてもまわりの家族の意志で病名を告げずにいることが珍しくありません。

ましてや、未成年の子どもに不治の病である事や、致死のリスクのある治療法だということを正確に伝えていいのかご両親が悩まれるのは当然でしょう。

ご両親に治療に対しての迷いがなく、移植を積極的に望んでいらっしゃる場合は、子どもへの語りかけも一貫性のある力強いものになるでしょう。しかし、ご両親のどちらかでもが治療に不安を感じためらいの気持ちがあれば子どもにその思いが伝わり動揺してしまう可能性は充分あるのではないでしょうか。

主治医とよく話し合いまずご両親が治療を理解した上で同意し、その上で子ども自身納得が行くように説明していくことが大事なのではないでしょうか。

子どもの同意は移植に関して絶対条件とはならないにしても、本人に治療に対する不安やわだかまりがあれば大きければ大きいなりにかえって治療に非協力的だったりすることもありえます。看護婦さんたちに負担をかけるだけではなく、治療効果にも大きな影響を与えるので、よく話し合って、場合によっては、医師からのインフォームドコンセントを受けて本人を主人公とした治療の道を作っていって下さい。




Q 家族が精神的に動揺しています。このままでは家庭が崩壊するのではと不安です。精神的なケアは、病院でしてくださるのでしょうか。どんなところに相談にのってもらえばいいのでしょう。
A 病気が告知された時、治療が厳しい時、生着不全等なんらかの事態が発生した時など家族が動揺するのは当然でしょう。告知を受けて感情的にならずにいられる人こそとても珍しいと思います。

人によっては、受け止めることに何年もの歳月を必要とする場合もあるでしょう。天を恨んだり、自分の行いが悪かったことに関する罰だと感じてしまったり、夫婦間で責任のなすり合をしたりする事もあると思います。また、親戚や知人や、ご近所の方から心無い言葉を聞かされて傷つくこともあるかもしれません。

夫婦もどちらかが現実に立ち向かえずに精神的に逃避してしまうかもしれません。話し合っているうちに感情的になって相手の見たくなかった一面を見てしまったという人もいます。

また、経済的な厳しさから家庭がギクシャクする事もあるでしょう。

兄妹児に問題が出てくる可能性もあります。

時がたつことによって自然に解決する事もあると思います。また、いろいろトラブルが起こっても夫婦であきらめずに話し合い絆が深まっていく家族もたくさんあります。

ただ、同時に家族がバラバラになってしまうケースもなくはありません。

本当に辛い時、厳しい時頼りになる相談相手を持てる人は救われるかもしれません。身近かにそんな人がいない場合、親の会などに連絡してみてはいかがでしょう。 あなたの思いを誰よりも理解できる人と出会えるかもしれません。また、難病支援の相談窓口に電話してみるのもいいかも。地元の保健センターのケースワーカーを頼っていけばカウンセラーを紹介してくれるかもしれません。

鬱状態が深刻な場合もあります。主治医に訴えて精神科医を紹介してもらうのもいいでしょう。また、病院には、相談を受け付ける窓口があり、ケースワーカーが対応してくれます。

一人で抱え込んでしまわず、思い切ってSOSを出してみましょう。一生づきあいができる友だちができるかもしれません。

ただ、注意しておきたいのは、善意からとは思いますがいろいろな宗教団体から声がかかったり、健康食品を進められたり、念力など超能力での治療をすすめられたりすることもけっしてめずらしくありません。

わらにも縋りたい気持ちでいる時に親切にしてもらって、心を許すことはあると思います。

全部を否定するわけではもちろんありませんが、中には、高額な物を購入させられたり、詐欺まがいの被害に会うこともあります。

冷静になって、物事の本質をみい出せるようになりたいですね。

子どもが病気を持って誕生したことを否定的に捉えるだけではなく、家族の一員としてあったかく受け入れられる日が訪れることを信じています。




 

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