兄弟間、または親子でHLAが一致している場合は骨髄バンクに登録できません。ですから、たとえ2才の弟妹児であっても骨髄の提供者になります。
自分の子どもを危険な目に遭わせたくないのはどの親も同じです。しかし、だからといって兄弟でHLAがあっているにもかかわらず、かわいそうだからとやらなければ病気の子どもが、移植を受けられなくなってしまいます。
親からの移植はともかく、病気を治すためとはいえ、二人の子供に、痛い思いをさせるのはかわいそうですね。
しかし、医師たちも健康な子どもに万が一のことがないよう万全を期します。ドナーとなる兄妹児は、移植の数週間前から、検査をします。血液(貧血)心電図、レントゲンなど、体調が整っていることを確認します。
そして、自己血をとります。これは、お子さんの年齢、骨髄の採取量によってとる量が違いますが、移植の時骨髄を一度にたくさんとるので貧血になることがあるためです。そのために、自分の血をとっておき骨髄採取の時に輸血するためです。自分の血液ならば、拒絶反応が出ることもありません。なにより安全です。 骨髄をとること自体は、そんなに危険はありません。やはり、心配なのは全身麻酔です。ごくまれに、麻酔の事故が問題になることがあります。
ドナーなった子どもは移植当日、さすがに辛そうですが翌日か、遅くても二日後には元気になります。傷の痛みも四日目から一週間くらいで落ち着きます。大人がドナーになったときよりも子どもの方が回復が早いということです。
兄妹間の移植にはメリットもたくさんあります。HLAが完全に一致していればGVHDがでることはほとんどないでしょう。その分回復も早まります。
また、移植後の状況によって、ドナーの白血球の立ち上がりが悪い場合、ドナーの輸血をすることによって、増殖を促すこともできます。万一、生着不全になっても、再度の移植を考えやすくなります。
マイナス面に目を向けるばかりでなく、このようなプラスの点も考えてみましょう。
バンクに登録したドナーの方たちは、名前も知らない未知の患者のために、リスクを知りつつ骨髄を提供してくれます。兄妹児も今は小さくて、痛い思いをしてつらいかもしれませんが、将来、自分の果たした役割を知り、充実した気持ちになると思います。
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