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きょうだい児へ、
わたしたちができること。


■医療の現場で

□きょうだい児の面会
現状と課題 感染予防のため多くの小児病棟では子どもの面会を認めていません。
解決に向けて きょうだいの子どもへの予防接種などをおこなった上での面会のための部屋を用意する。 テレビ電話などでコミニュケーションを持てるようにする。
海外の事例 ヨーロッパやアメリカの小児病棟では原則個室病棟が多く、きょうだい児の面会も可能なところが大半のようだ。 家族滞在用の部屋が病室の隣にあり、そこから父親が出勤したり、きょうだい児が登校していくこともできる病院すら存在している。

□きょうだい児の保育
現状と課題 面会時間が午後3時から8時などとなっている病院が多く、きょうだいは夜、祖父母や父親に保育されている場合が多いようです。 しかし場合によっては、小学1年生くらいから食事や入浴、就寝なども1人で長期に渡っておこなっている子どももいます。 また、小児病棟には入れないため、監督者がいない待ち合い室やプレイコーナーなどで長時間すごしているようです。
解決に向けて 看護士のための保育所などがある場合、そこへの入園が可能にならないか。 きょうだい児が保育園や小学生であれば面会時間をずらし、午前から3時くらいにできるよう面会の選択肢をつくる。 子どもたちの託児室をつくり、保育士に保育を依頼する。 NPOなどに保育の依頼をし、定期的にボランティアの派遣を要請する。

□きょうだい児へのインフォームドコンセント
現状と課題 骨髄移植などのドナーになったきょうだい児にすら、しっかりとしたインフォームドコンセントがなされていない場合が多いようです。 ましてや一般のきょうだい児に対して医療従事者から話し掛ける機会すらほとんどないようです。
解決に向けて きょうだい児にもわかるようなインフォームドコンセントツールを用意し、入院時、手術をする時期、ターミナル期など折々に説明をする時間をつくる。
海外の事例 ヨーロッパではプレイセラピーという職域があり、病気の子どもへのプレパレーションに取り組む他、きょうだい児に対しての説明も人形などを使って行っている。

□きょうだい児の心理相談
現状と課題 不登校や問題行動をおこすきょうだい児があっても、家族は病児に掛かり切りで、きょうだい児のためになんらかの行動をおこすことが難しいのが現状です。
解決に向けて 病棟内で心療内科や精神科などとのネットワークを組み、家族精神的なサポート体制をとる。 心理学科などの教育相談の窓口などと連絡を取り合い、紹介する。

□調査・研究
現状と課題 きょうだい児に対しての調査・研究はまだまだ少ないようです。
解決に向けて 現場の医師や看護師、臨床心理士などが現場で調査し、その研究成果を学会などで発表することによって広く課題の共有がなされるだろう。



■保育・教育の現場で

□きょうだい児の保育
現状と課題 病棟の面会時間が午後から夜にいたっていますが、保育所や学童保育などの終了時間は5時が原則となっています。 保育の空白を埋めているのは父親ですが、長期に渡ると職場での評価が下がり、リストラの対象などになっている事例もあります。
解決に向けて 同じ場所での保育時間の延長はできないだろうか。 緊急時の保育のサポートを保育ママ制度などを使っていけないか。 また、父親の会社での介護休暇制度などの活用ができないか。

□緊急一時保育
現状と課題 未就学児が保育に欠ける状況になったとき、保育園が一時保育を受け入れている自治体が多いようです。 しかし、手続きが煩雑なのと、期間が9日〜1ヶ月と限られていて、必要な保育のニーズを満たしていません。
解決に向けて 行政が保育に欠ける状況の子どもの保育を福祉の施策にしているのであれば、現状を認識し、子どもたちが安全に過ごせる環境を提供するため、いろいろな社会資源を活用できるよう考えられないだろうか。

□きょうだい児への声かけ
現状と課題 病気の子どものきょうだい児は、家で「がんばってね、いい子でいてね」と期待されています。 その上、学校でも「○○は大変なのだから、お前はがんばれよ」と声をかけられることが多いようです。 その子を呼ぶ場合も、「○○の兄ちゃん」「○○の姉さん」などと表現されることがあります。 学校の中でもきょうだい児の役割を担い続けなくてはいけない場合も多いのです。
解決に向けて 担任している子どもの家族の状況を知ることは大切で、目をかける一方、きょうだい児が担わされている役割を強めるような声かけは控えたい。 「がんばっているね」「困っていることはないかい」「心配や不安なことがあったら相談してね」など、その子のがんばりを認め、支援する意志のあることを具体的に伝えたい。

□きょうだい児の心理サポート
現状と課題 情緒が不安定になる、寡黙になるなど、きょうだい児の変化があらわれます。 大声で泣叫ぶ、文字が書けなくなったなど、著しい変化を見せる子どももいる一方、おとなしくなった、いい子になったなど、手がかからなくなる子どもいます。 これらは、子ども達からのSOSのサインとして受け止めるものですが、現状では、家族に問題を提起し解決に向けての努力を促す場合が多ようです。 しかし、家族の中だけでは支えきれない状況なのです。
解決に向けて 子どもの変化に気づいたら、子どもと話し合ってほしい。 不安や心配で押しつぶされそうになっている子どもの心を開く努力を。 病気に対しての不安であれば、養護教員などから説明をしたり、親からの放置からくる不安であれば、臨床心理士などのサポートを受けられるようする。 先生は、クラスの子どもたちの中できょうだい児が孤立しないよう、守秘義務を守りつつもその子ががんばっていることを伝える機会を持つ。 家族との連絡は密に取っても、家族に負担がかかり過ぎる提案を行っては家族は受け止めることができず、距離があいてしまう可能性がある。 支援していく意志をしっかり伝える。

□きょうだい児の日常生活
現状と課題 忘れ物をする、提出物を出さない、髪や爪がのびていても切ってこない、親は参観日や保護者会、PTA活動に出席しないなど、保護者のいい加減さに手を焼くことも多いと思われます。 連絡を取ろうとしても、連絡帳を見ていなかったり電話に出ないこともあるでしょう。 担任は、何とかしようと孤軍奮闘し疲れてしまうかもしれません。
解決に向けて 病気や病状について、その詳細を話したくないと思っている家族は多い。 それはまた、両親自身が子どもの病気を受け止めきれていない時期かもしれないし、「かわいそうに」「お気の毒に」などの言葉に傷ついた経験があるのかもしれない。 命に関わる疾患だったり、ターミナル期になっていたりした場合、家族がその状況を伝えるのは、深い信頼関係を今までに構築していた人だけに限定されるだろう。 病状について詳細を聞き出そうとすることは相当な守秘義務が生じる。 日常生活が破たんし出しているとすれば、状況が厳しいと推測し、保育所や学校で補えることは補ってあげるような努力ができないだろうか。

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